別れたもの

いつも笑顔の女の子と映画を観に行った。
彼女は学年では1つ先輩であるが同い年である。
映画も終わり、食事をしているとき、会話の流れで、ふいにボクが映画とか一緒だと彼氏に怒られるかもな。と言うと
うん。いや、あのー。。。ね。と、
目をきょろきょろさせ、頭も生まれたての赤子のように揺れ、少し落ち着かない。
ボクは察して、何も言わなくてもいいよ。何となくわかったから。
笑顔の彼女は、すごく緊張する。
付き合うこともこういうことも今までなかったから。と言い、
深呼吸をして、彼氏と別れたことを言ってくれた。
詮索はしなかった。どうも話し合いのうえでの別れのようだ。


ボクは彼女の彼とも知り合いだ。
彼はボクとは性格が真反対で、論理や、ルール、マナーとか堅苦しいことを嫌う。
そして、なんだかんだモテる。男にも評判は上場である。彼は否定するだろうけれど。


彼女は、どうすればいいか。会ってもいいのか。連絡をとってもいいのか。
友達としての付き合いは大丈夫なのか。などを聞いてきた。
ボクは、連絡や、会ったりはいいんじゃないかな。まだ好きで相手もその気持ちなら復縁もありえる。
でも、相手も待ってはくれないし、周りもほっとかないと思うよ。手を打つなら早めにこしたことはない。という旨を伝えた。


彼女はボクの話に感心しながらチキンカツを食べる。
自分の今の状況を確かめるようにゆっくり丁寧に食べていた。
彼女は努めてか、素なのか、もう条件反射なのか、終始笑顔で話をした。


でも彼女は食事の手があまり進んでいない。
それは映画の前にホッ トドッグを食べたなのか、
心にわだかまりがあるからなのかよくわからない。
ボクが食べ終わっても、まだ2/3くらい残っている。
原因は多分前者なんだろうけど、後者の可能性も少なからず表れているように思えた。
ボクは彼女が笑顔で食べきれる時がくればいいなと思いながら、
彼女の残りのカツをもらった。