彼女たちにとって

そういや、前の女子呑みで君の話でたよ。 同じ部の彼女がさらっと、楽しそうにボクに言った。
えー、俺モテモテやん。どんな話? とボクは聞く。
たいしたことないよ。ハハハ。その言葉を聞きながら、ボクはなんとなく思う。またボクに彼女が出来るには。みたいな話をしているんだろうな と。


ボクの話が出たよと教えてくれるということは、毒は吐いてないし、むしろ良心的なのだと思う。けれど、ボクの欠点や改善点などを肴に、彼女た ちは笑い、あるあると共感しながら盛り上がったんだろう。そう思うと喜んでいいのか、怒っていいのか、と複雑な気持ちになる。


ボクには彼女がいない。大学在学中に一人も付き合っていない。そのことが彼女たちの心配の原因なのだろう。先に誤解が無いように言っておく が、男に恋愛感情はないし、ましてや、漫画、アニメになど毛頭ない。し かし、彼女がいないことでこういうフィルターをかけられることも少なからずある。そもそもボクは中学校のときから結婚はできないだろう。と思っていたの で、あまり悲観していない。
そういう諦め気味のところや、強情なところなどが駄目なようだけど。彼女たちはボクがどんな性格であれ関係ない。そういうおせっかいなことを していることでこの場での自分の考え方のお披露目会をしているのだと思う。ボクの運命は突き詰めて行くとどうでもいいのだろう。ただ笑い、盛り上がること が目的なのだから。


でも思うのだ。心情はどうであれ、こうやってボクのことを気にかけてもらえていることは悪くない。それはボクの実像を捕らえていないから思え ることなのかもしれないけれど。